小ひさきものを愛するオトコ
ツバメは、賑やかな民家の軒先などに巣を作る習性がある。
これは、天敵であるカラスなどから身を守るためだ。
我が家にも毎年ツバメがやってくるのだが、
まだ巣作りをしたことはない。
ところで、
我が家にはツバメに異様に関心を示すヤツがいる。
それは、
今までにケ~タイを3度もオシャカにした、
(まだ言うか!)
アホでオッチョコチョイのPOKI夫だ。
さて、このオトコ、
ツバメがやってくる時期になると、
ソワソワと落ち着かない。
「おっ!ツバメくんがやって来たでぇ!
今年こそ巣を作らんかなぁ~!」
・・・夫は毎年このようなセリフを吐き、
ツバメの巣作りに多大なる期待を寄せるのだが、
その期待はいつも裏切られてばかりだ。
ところが!
夫の切なる願いが通じたのか、
今年はツバメが、巣作りを始めたのであるっ!
ツバメくん達は、どこから調達してくるのか、
泥や枯れ草をくわえてきては
せっせと巣作りに励んでいた。
こうなると夫のボルテージは、いやがうえにも上昇する。
夫は、「ツバメと暮らす優雅な生活」を夢想し、
日々、巣の完成を待ち望んでいた。
時には妄想が暴走し、
「ツバメの巣が出来たら、車はガレージには入れれんな!
ノラ猫がやって来て、
車の屋根に乗って巣を襲うかもしれんからなっ!」
などと言う。
そうなのだ、
ツバメが巣作りをしているのは、
夫が車を止めるガレージの天井だ。
夫は、まだ巣も完成していないのに、
ノラ猫に襲われる心配までし始めた。
取り越し苦労もエエとこである。
夫の期待を一身に背負って、
巣作りにいそしんでいたツバメくん達であるが・・・
もしかして、
コイツらアホなんちゃう???
・・・というような状況になってきた。
いやいやいや・・・
何も蛍光灯に巣を作らんでも。
スベるやろ!
蛍光灯はアカンやろ!
夫のオヤジギャグと一緒でスベりまくりやろ!!!
この状況を見るに見かねた夫が、棚を作成した。
普段は日曜大工の一つもしないクセに、
ツバメの事となると必死やで、ホンマ。
夫の苦心の作である「ツバメくんのための巣作りの棚」
であったが、
当のツバメくん達は、見向きもしないのである。
そして、
相変わらずスベりまくりの蛍光灯に泥をなすりつけていた。
おかげでガレージの床、グッチャグチャのベッチョベチョ。
さんざん床を汚し、
蛍光灯を汚し、無駄な努力を続けていた
ツバメくん達であったが、
どうやら諦めたらしく、パタっと来なくなった。
夫の落胆たるや尋常ではない。
・・・と、言う訳で、
夫の夢想した、
「ツバメと暮らす優雅な生活」は実現せず、
ノラ猫に襲われるカモ・・・という
取り越し苦労をさせられ・・・
あとに残されたのは、
汚れた床と、汚れた車、汚れた蛍光灯、
苦心の作なのに見向きもされなかった棚。
こうして、
小ひさきものを愛し、癒されたかったオトコは、
今日も癒されることなく、
デカイ態度の嫁の尻に敷かれ、
アゴでこき使われるのである。
めがねざる宅でパソコンを勝手にいじる、
小ひさきものを愛するオトコ。
背中に哀愁が漂う。
調べてみると、
中には蛍光灯に巣作りを成功させたツバメもいる。
「金色の ちひさき鳥のかたちして
銀杏ちるなり 夕日の丘に」・・・(与謝野晶子)
カンケ~ないが、
アタシは秋になるとこのうたを思い出す。
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